「花鎮頌」(はなしづめうた)

1.「花鎮頌」(はなしづめうた)
「花鎮頌」2004年4月、柳井美加奈の父である柳井道弘が詠んだ詩「花鎮頌」を歌詞として作曲された。詩集「花鎮頌」は、評論家保田與重郎の序、版画家棟方志功の版画装丁により1952年に出版された。 
筝高音 平野裕子 星島真裕子 大屋洋子
筝低音 柳井美加奈 石井礼子
十七絃 横山喜美子 松浦奈央
尺八 芦垣?盟
ベース 吉野弘志
2.「シヴァの飛翔」
1998年4月、第25回「野分の会」で坂田明のサックスとの共演により初演された。女性というのは強く逞しく図々しいように言われているが、家族や社会に奉仕しながら健気に生きている多くの女性たちに共感し、それをたたえる歌として作曲された。
第一筝 柳井美加奈 平野裕子
第二筝 星島真裕子 石井礼子
十七絃 横山喜美子 松浦奈央
尺八 岸本南山
ベース 吉野弘志

福田眞久(国士舘大学教授)
詩人柳井道弘は、日本浪漫派の系譜に精神の軸をおき、
萬葉集の「ますらをぶり」の文芸世界を探求され、
つひに暗黒を照らす星を見出され、
不易永遠の詩情を体験された。
氏の戦中の作である『花鎮頌』は、
若き日の詩人の研ぎ澄まされた感性と
人間愛とのまことの言霊である。

 花鎮頌(はなしづめうた)

     いろはにほへど散りぬるを
     えい いろはにほへど散りぬ
     るを あな あはれ

日の本の倭(やまと)の國に
神ながら匂ひ耀よひ
國ぶりに薫りし花や
この夕べ
ありなしの風に散るなり
天地(あめつち)のまにまにかくも
うるはしく
あでにひらきし
さくらの花の
いま散りゆくも
天地のままなれや

     いろはにほへど散りぬるを
     えい いろはにほへど散りぬ
     るを あな あはれ

いのちを尽くして薫れる花よ
しづかに舞ひたまへ
春日の杜の八少女も
散りゆく花を髪に挿せ

     いろはにほへど散りぬるを
     えい いろはにほへど散りぬ
     るを あな あはれ

もろびとのめでたたへにし
さくらの花の
いま人気なきこの里に
しづかに舞ひて
散りぞゆくなる