柳井美加奈古典選集
1.ゆき SoundPreview
唄・三弦 柳井 美加奈
地歌 端歌物の代表作品といわれるものである。
1780-1800年頃に活躍した大阪の峰崎匂当の作品である。
渋い中に粋な風情を持った曲で、この曲の合の手(中ほど歌のない部分)
は、鈴の音にたとえられているが、通称雪の手として他の曲にもとり入れられている。
 唄は流石庵羽積によるといわれ、悲恋の末、出家した女の昔の追憶を唄ったものである。
目を閉じて静かに聞き入る程に情景の中に引き込まれるような味わいの増す演奏となった。
2.乱れ SoundPreview
柳井 美加奈
生田流では「十段の調」ともいわれるが、他の段物のように、各段の拍数
が一定せず、それ故「みだれ」と称される。
「六段の調」と並ぶ箏曲の代表的な曲で、八橋検校(〜1685)の作といわれている。
  古典の中で、数少ない純器学曲であるが、単なる古典的名曲にとどまらず、
時を経て、今に生き続ける要素を持っている。
 はぎれの良い演奏で雅さの中に、現代感覚豊かな「みだれ」の世界を描いている
3.残月 SoundPreview
唄・筝 柳井 美加奈
尺 八 山口 五郎
地歌手事物の名曲であり、「ゆき」と同じ峰崎勾当の作曲である。
 峰崎勾当の門下の松屋某の息女の追悼曲として作られたといわれている。

 前唄は手数も少なく、肉親を失った気持ちを、淡々とした節付でうたって
いる。手事五段の妙をつくした各々の手法に、残された者の心理の起伏織
り込んだように思える力強く確かな山口師の尺八に柳井が絶妙なバランス
で参加している名曲である。